街なかで両替するときの落とし穴

ベトナム・タイ・台湾・韓国・フィリピン。
気をつけるところは、国によってまるで違います。

最終更新 2026.10.08


はじめに

空港を出たあと、街で両替するときの話です。前の記事では空港に着いてからの動き方をまとめました。こちらでは、街なかでつまずきやすいところを国ごとに並べます。

大事なのは、気をつけるところが国ごとにまったく違うことです。ベトナムでは法律、タイでは店の名前、台湾ではそもそものしくみ、韓国では表示の読み方、フィリピンでは受け取った紙幣の枚数が問題になります。ひとつの国で覚えたやり方が、隣の国では通じません。

木の机の上に広げた、いろいろな国の紙幣

この記事の数字は、それぞれ調べた日の時点のものです。決まり・お店・レートは変わります。出発前に、現地の掲示やアプリで最新を確かめてください。内容は半年ごとに見直しています。


先に2つ

レート表は「数字が大きいほど得」

韓国の店頭は「100 JPY = 865.00 KRW」、フィリピンは「JPY」の行の「BUYING(買う)」の欄に数字が出ます。どちらももらえる現地通貨の額なので、数字が大きい店ほど手取りが増えます。日本で見慣れた「1ドル=150円」は数字が小さいほど得なので、向きが逆です。見比べるときに間違えやすいところです。

韓国の両替所の店頭 100 JPY = 865.00 KRW ↑ 数字が大きいほど得(もらえるウォンが増える) 日本でよく見る表示 1 USD = 150 JPY ↓ 数字が小さいほど得(払う円が減る)
韓国の店頭の数字は「もらえる額」なので大きいほど得。日本で見慣れた表示は「払う額」なので小さいほど得。向きが逆です。

パスポートの原本を持って出る

韓国と台湾は、街の両替所でも銀行でも、両替にパスポートの原本が必要です。コピーやスマホの写真では受け付けてもらえません。フィリピンでも、中央銀行の指示で身分証の確認が求められます。ホテルに置いてきてしまうと、良い店にたどり着いてもそこで終わりです。


国別の落とし穴

看板のネオンが並ぶ、アジアの夜の商店街

ベトナム:無許可の店で換えると、客も罰せられます

2026年2月9日に施行された政令340号(340/2025/ND-CP)で、許可のない店で両替した旅行者本人も罰せられるようになりました。罰の重さは換えた額で決まり、1,000ドル(およそ16万円)より少なければ警告(くり返すと罰金)、1,000ドル以上なら1,000万ドン(およそ6万円)からの罰金に加えて、両替した外貨も没収されます。少しの額でも違反は違反です。旅行ブログで定番だった金行(ゴールドショップ)も、許可がなければ両替はできません。ハノイのハーチュン通りやハンバック通りの店も例外ではありません。

ベトナム:確かめるのは「掲示」です

許可を持つ店は、店頭やカウンターのそばに外貨両替の許可証を貼っています。ベトナム語で Giấy phép thu đổi ngoại tệ(ザイ・フェップ・トゥー・ドイ・ゴアイ・テ)と書かれたものです。見あたらないときは、その店では換えないでください。「見せてください」と聞いても構いません。有名な店・大きな店でも持っていないことがあります。確実なのは銀行と、空港の到着ロビーの窓口です。どちらも必ず認可されています。

タイ:名前がそっくりな会社が3つあります

バンコクで名前をよく聞く「スーパーリッチ」は、別々の会社が3社あります。日本語のブログで「スーパーリッチが良い」と読んで出かけると、別の会社の店に入ることになります。見分けるのは看板の色です。SuperRich 1965 はオレンジ、Superrich Thailand は緑、Grand Superrich は青(水色)。どれが良い悪いではなく、その日のレートは会社ごとに違うので、どの会社の話をしているのかを意識してください。

公式サイト:SuperRich 1965/Superrich Thailand/Grand Superrich

台湾:街の両替屋さんがありません

台湾には、街角の両替専門店という業態がありません。外貨を両替できるのは銀行・郵便局と、政府が認めた「指定外幣收兌處」(ホテル・デパート・観光地・一部のお店)だけです。知らない店で両替を持ちかけられても、応じないでください。なお台湾の銀行のレートは全国共通で、市内でも空港でも同じ数字が出ます。「空港は損だから街で」という他の国の常識は、ここでは当てはまりません。

台湾:壁になるのは営業時間です

銀行の窓口は平日の9:00〜15:30で、土日祝は閉まっています。旅行者にはこれがいちばんの壁です。逃げ道は3つあります。桃園空港の窓口は24時間(1回30台湾ドルの手数料)、台北・中山の昇祥茶行は認可された窓口で毎日22時まで、郵便局は手数料なしで土曜の午前も開いている局があります。ただし外貨を扱う郵便局は台北で20局だけなので、近くの郵便局ならどこでもよいわけではありません。

韓国:明洞まで行く必要はありません

ソウルの両替所というと明洞が有名ですが、2026年8月の2週間の中央値で見ると、1万円あたりの手数料は江南駅が約35円、明洞が約38円、仁寺洞が約52円、弘大が約70円でした。数万円の両替なら、この差よりそこへ行く時間のほうが高くつきます。泊まっている街の定番店で十分です。銀行は基準レートから1.75%引きという決まった幅なので、どの銀行でもほぼ同じです。見比べて歩く意味はありません。

フィリピン:見るのはレートより枚数です

マニラでは、紙幣を二つ折りにしたまま渡して枚数を多く見せる手口が報告されています。同じ札を折り返して二度数えることもあります。カウンターの前を離れる前に、折られた札を開いて、自分で1枚ずつ数えてください。急かされても、ゆっくり数えて構いません。離れてから申し出ても、まず取り合ってもらえません。認可を受けた店は、中央銀行(BSP)の登録証や認可シールを店内に貼っています。

フィリピン:同じ建物の中でも差が出ます

セブでは、同じアヤラモールの中で「1円=0.36ペソ」の店と「1円=0.32ペソ」の店がありました(2026年1月2日)。同じ建物の中で11%の差です。10万円を換えるなら4,000ペソ、日本円でおよそ1万円変わります。「モールの中だから安心」ではありません。両替所が固まっている場所へ行って、2〜3軒見比べてから決めてください。少額だとレートを下げる店もあるので、使う分をまとめて1回で換えるほうが有利です。

出典:CSPナビ・タナセブ「セブの両替」(2026年1月)


まとめ

  • ベトナム:許可証の掲示を確かめる。無ければ換えない。銀行と空港は確実
  • タイ:看板の色で会社を見分ける。オレンジ・緑・青は別の会社
  • 台湾:銀行・郵便局・認可された窓口だけ。平日15:30を逃したときの逃げ道を決めておく
  • 韓国:レート表は数字が大きいほど得。パスポート必携。泊まっている街の店で十分
  • フィリピン:その場で1枚ずつ数える。同じ建物の中でも見比べる

アプリ

街ごとの両替所の場所と営業時間、許可証の確かめ方、チェーンの見分け方、空港に着いてからの順路は、Android アプリ「レートハント」に入れています。電波のない場所でも使えます。

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